「著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム」を見に行ってきました

著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
第三回「コミケ2ちゃんねるはてなセリフと作家と著作権
2007年6月15日(金)18:30−21:00 @慶應三田校舎東館6階
http://www.dmc.keio.ac.jp/topics/070615creative.html


※私自身、主体的に著作権に対して興味深々なわけではないのだけ先に書かせていただきます.むしろ、こういう風に一つだけ「権利」として抜き出して捉えることはキモチワルイ.コンテンツと人の感情を扱っていく「モノづくり」の立場としては、その創作者の価値を理解するために 考えておくべき領域だとは認識してますけど.本日は、カワノの誕生日なので フラフラ休みを取っていたら、誘ってもらえたので遊びに行ってきました.


 写真以外で見たことの無い、噂の"貴公子"、金先生を初めて生で見る.庶民のカワノは遠くで見つめているだけで精一杯です...


 暇だったので(?)、ディスカッションの内容に突っ込みを入れながらメモを取る.突っ込みどころ満載なのだか、近頃慣れた職場のディスカッションと違って その場で突っ込めないというのはつらいなぁ.

 さて、中身.問題設定の仕方が、あまりに主観的な気がしたので いちいち中身には触れないけれど、小学館の久保さんと言う方の発言は 「モノ作る」側として気にする点として共感できるところが満載だった.
 基本的にディスカッションの焦点としては、「二次利用」「パロディモノ」に対する主張が 延々と平行線で進む感じであった.あまりにも鈴木謙介氏が 「個人の小さな創作活動」に固執していることには違和感がある.「消費者の目線から」「消費者の立場から」ってアホの一つ覚えみたいに 他数人も繰り返していたが、「消費者ですら創作者である」と言っている割に、創作側の正しい評価と対価ということに触れなさ過ぎるのはいかがかと.まるで、自分を悲劇のヒロインかのように、自己弁護の主張ばかり繰り返す社○党みたいで、少し寒気が...


 まぁ聞いていて 私の今後の仕事から気にしなきゃいかんな と思った点をいくつか.
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  • 「ad-proのための表出促進」と「儲けを妨げる表出の抑制」のパラドックス

 ま、これは面白い現象だけど、経営者のマインド一つでどうにでもなる話.
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  • 作家の希望(絶対誰にもコピーさせたくない等)にどこまで対応するべきか

 これ、結局のところ「個人の主張をどこまで優先するか」、「自由をどこまで認めてやるか」って話なんだよな.ただ、文化的、知的なコンテンツに関する話はもっと 広い視野(文化的な社会にするため という前提の下)最低限ここまでは共有地にしよう とかいうガイドラインがあってもいいのかもしれないね.そういう意味で、この点だけは久保氏の「個々の権利者の意思で判断されるべき」という考え方には、簡単に賛成できない.
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  • コストをかけてでも破壊するHacker思考

 これ、会社でもDRM系領域の議論で悩んだんだよねー.
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  • コンテンツ対価の支払いは 消費前か、消費後か?

 ディスカッションでは、「技術によって視聴率以外の指標で評価できる」とのたまっていたが それって事後評価だけど、現状のコンテンツの大部分って消費前に対価を支払ってるのよね.確かに、消化したあとにその良さの分 対価を払える仕組みを作る(外食とかはそうなってるね、まぁそこで「まずいから半額しか払わない」なんてことはほとんどありえないので、先に払おうが後だろうが関係のない理論に基づいているわけだが.)ってのは、ある意味正しいように直感でも思うけれど それじゃ問題が出てくる可能性も有るんだろう.
 ま、コンテンツの市場ができるってのは、コピーや流通の物理的な制約による価格設定よりも、本質的な質に価値が落ち着く時代を迎えるってことなので、そのときに質の評価の一環として、対価支払いのタイミングをどこにおくかは 要検討課題ですよね.おっと、ちょっと書きすぎた.
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 白田氏の意見は もちろん痛快だったし 概ね私も賛同するところなのだが、やっぱりアカデミックやジャーナリズムの域にいる人たちって「何かを作り出す前提」の議論にならないのだなぁと再確認してしまった.こういう著作権の問題は、結局のところ「何かを生み出して、それを消費・評価される」ことに本質的価値があるからこそ、作る側としての設計思想が弱いと、心のない「カタチ」だけのものに聞こえてきてしまう.だからあんなに簡単にテーマが「延長するか、否か」なんて 形式だけの問いから始まっちゃうんじゃないの?w

 しかし、そちらさんの業界って、毎回毎回問題とかトラブル起こりすぎ.なんつーか、落ち着きのない業界.

2007/6/15
・諸般の事情により、本日のトークイベントのライブ中継は見合わせていただくことになりました。後日トークイベントの動画をオンデマンド形式で視聴できるよう調整して参ります。

著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム 新着情報より