Yahoo!新レイアウトと平準化

 そうか、Yahoo!って「検索サイト」と言うカテゴリを捨てて、完全に「ポータルサイト」と言うカテゴリの企業になったってことなんだね.


 旧来のYahoo!のトップページは、確かに“昔ながらのあのリンク”から何かを辿って行くことは ほぼ無くなって居たのは事実で、新Yahoo!のトップページのど真ん中に位置されている「トピックス(ニュース)」や左側に位置された「Yahoo!サービス」の中から トランジットやテレビ番組表をたまに覗くくらいしかしてなかった.そういう意味で、今回のリニューアルは マーケティング的に正しい配置ではあるんだろう.
 しかし、中の検索アルゴリズムまで気にしない一般のユーザーから見たら、Yahoo!もGooもエキサイトもMSNも各プロバイダ企業のトップページも、全く同じに思えるはずだ.
 その中で本当に、Yahoo!は勝ち抜いていけるのだろうか?
 例えば、あれだけ一時期 IMの代表格であったMSNメッセンジャーが、いろいろタブで他のサービスに繋げようとしながらも全く相互作用を生み出せず、まんまと(ICQから自らが寡占状態を奪ったように)SkypeGoogle Talkにシェアを奪われた状況が重なって見えるわけだ.
 これまでに築いた1st screenのブランド価値は、実はパッと見でわかる“昔ながらのあのリンク”が、意識を保たせていたんじゃないか、とさえ思えてしまう.本当にあの“昔ながらのあのリンク”、使いよう・発展させようが無かったのだろうか?



 たぶん私は、今後はYahoo!は使わないんだと思う.ニュースくらいなら、iGoogleで如何様にもフィード可能だし、そもそも読まれている人口の多いニュースにありつくなら、mixiニュースのほうが適してきている.きっと、どのトピックが選ばれるか、掲載されるか、も今後は洗練されてくるだろうと予想できる.
 そもそも、今回のYahoo!のリニューアルは、自らの持ち味を洗練・成長させること無く、他社と同じ結論に落ち着いてしまったことに落胆を感じている.「新しくなった10のポイント」とは、平準化・平均化された10のポイントなんだと思う.そりゃ昔、SNSのG○EEがレイアウトリニューアルされた時、内部の人間に「これって人間工学とか工夫した末の意図的UI変更なの?」と聞いたことがあるんだが、「いいや、全然.かっこいいと思ったから」みたいな返事をされて愕然としたことに比べると、マーケティング的にも、意図的なUI設計という意味でも、間違いなく減点はされないリニューアルではあると思う.が、この企業は今後何を伸ばして行きたいのだろう?何を資産として積み上げていくつもりなんだろうか?



 「学習」や「情報の多さ」という恩恵は、時として 良いものを取り入れるとともに、同化・平準化をもたらしてしまう.賭ける部分は、外部からの情報をシャットアウトして 研ぎ澄ますことも必要.
 地域活性化のために 全国の様々ないいイベントを取り入れた結果、どこにでもあるものだらけになって誰も見向きもしなくなるのと似ている.人が遠くからでも足を運びたいイベントは、実は 物理的に遮断されている間に培われた「差異」の洗練こそが、その価値を生んでいるってことにも 半分バランスを取って置かなければならないのだろう.