現在の「技術力」とは何なのか

Apple任天堂は、理系の会社と言えるんだろうか?


技術力って何なんだろうか?



最近、古田(2006)「第5世代のテクノロジーマネジメント」と、金子(2006)「研究開発戦略と組織能力」という本を一気読みしていたんだが、前者はかなりよく網羅されていて読みがいが有るんだが、後者はなんだか話が古くて(成熟産業的技術研究開発のネタだなぁと)逆にその古さのお陰でいろいろ 現在との差を考えるきっかけになった.
例えば、

基礎となる技術の見通し無しに商品企画はできない

特定製品のためのコンセプト開発する場合には、技術開発の川から競合に打ち勝つ確立した技術を新製品コンセプトに採用するために「釣り上げる」ことにより、結果的に、新規技術を複数の製品に利用することになり、技術開発の生産性が向上する

という記述.どれも、著者が他の人の論文を用いて書いてある記述ではある.実際、現状お金を生み出している商品のほとんどは上記の説明に納得できる話かもしれないし、まともなことかもしれない.がしかし、しっくりこない.

技術の定義が変わりつつあるのではないか?と思うのだ.



例えばgooglegoogleの生み出したサービスは、技術的にも優れているかもしれないが 技術力が先立つものではなく、アイデア・コンセプトがあって、あとからそれが実現できるだけの技術を投入したとしか見えない.それは、googleだけでなく、Apple任天堂も同じでは無いだろうか.Appleも大きな売上と集客のメインは、培ってきたOS技術でもなく、優れた画像処理ソフト技術でもなく、コンセプトの塊であるiPodiTunesなどのiシリーズ.任天堂もたくさんのソフトウェアエンジニアを抱えているはずだが、結局のところWiiだって センス・コンセプト勝ちだろう.
技術の多くは、お金で買えるようになってしまった.もはや何かを実現するためのツールだ.技術があるから人や商品が集まるのではなく、技術があれば製造(と「技術的な」開発)下請けができます という時代になってしまった.
正直なところ、ソフトウェアが「頑張れば」たいていの考えたことは実現できてしまう状況で、ネックになるのはやはり人間の想像力でしかないのかもしれない.



キーになるのは「発想のセンス」と「組み合わせ」と「迅速に投入できる技術」と「迅速なビジネス遂行部隊」だろう.