短絡的な問題解決の悪

 もはや愚痴というか文句に近いがお許しを.大好きな番組である「ガイアの夜明け」までも こういう捉え方で発信してしまった という事実が悲しい.今週のガイアの夜明けは「起業家はいま・・・ 〜ライブドアショック後のベンチャー像〜」.
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview070522.html


 営利企業が社会のために動いていないかのような言い方は、いい加減やめて欲しいと思う.確かにベンチャーの一部や外資系の一部の連中と話をしていると、目先の利益や株主への見せ掛けの社会貢献を目的にして動いている連中もいるのは分かるが、ほとんどの企業が生み出すモノは「社会に何らかのメリットを提供している」と捉えてもらいたい.
 自分もNPO法人を作って運営している身として言うが、NPOなんてもののほとんどは「一過性」の絆創膏でしかない と考えている.より良い状況を作り出すために動き、いつか より良い安定状態になったときには、Exitするものだ.というのも やはり今現在で一番強い制度は「市場」であると考えているからだ.もちろん市場の失敗もあり、政府でしか力を発揮できない部分もあるが、市場で切磋琢磨させられて より良いモノが育って行くことが理想だろう.
 しばしば、そのような市場を壊すことに一番近いのが NPOの存在だ、と感じることがある.なぜならその事業そのモノで金を生むサイクルを持っていないのに、サービスを提供するから.市場の仕組みに歪みを与えるのだ.この矛盾に気付いた上で、「一過性のオピニオンリーダーとして」、もしくは「次なる新しい仕組み構築のために足がかりとして」動いているならば理解できる.だが、そのステップを持ち合わせていないのに ただ短絡的に目の前の問題を補おうするのは、かなり危険である.


 ガイアの夜明けで取り上げられていたK氏自身のblogで 番組の視聴者からの声を掲載していたが、最後の人の批判こそ本質的な命題を言い当てていると感じている.「病気はこどもの叫び。病時には父母が保育にあたるように社会や企業、政府に働きかけていくべきで 金銭で解決すべきではない。」私も、金銭で解決するのは一過性のサポートでしかなく、本質的な問題を解決することになっているとは思わない.K氏は、番組内でNPO先輩の石川治江氏から「本当にその問題を解決するために必要なことは、提供地域の拡大なの?」と問われていたが、どういう回答が期待されているのか気付いているのだろうか.