慣れて見失う素直なミッション・ドメイン

 数年コモディティ産業でのルーチンワークと改善だけで利益の出る世界にいると 気付きにくくなるもんだなぁと振り返ってしまった.昔やっていた しがない商売作り経験の記憶と今やってる新しい事業作りのハザマで、ルーチンでやってのけられないこと(=やったことないこと、知らないこと、結果に保証のないこと)に対しての意思決定基準について、今日ごちゃごちゃ言う機会があったので、備忘録としての記録を書くことにする.

ビジネス上のこれまでに知らないことを判断するときの意思決定基準 河野流

  1. ミッション・ドメインを外れないか?
  2. Inputとして妥当か?(リソース・コスト・期間)
  3. Outputとして妥当か?(生み出す価値・額)


 こう考えていた時に、ぴっかーん とWiiインターネットチャンネルOperaね)を思い出してしまったわけだ.インターネットチャンネルの何に響いているかと言うと、その秀逸なミッション・ドメインの捉え方・割り切り方なのだ.
 WiiOperaを立ち上げた時のトップページは 以下のようになっている.
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/static/image/2007/04/12/wiir06.jpg
 基本的に「検索」「お気に入り」「URLの入力」だけを強調している.しかし、よく考えてみると 人がブラウザを使う時は、基本的にこの三つで済んでしまうだろう.とてもシンプルに、そのモノ(用途というミッション)に忠実.


 それだけでなく、検索画面に突入しても とても感心する.「検索」ボタンを押すと、まずテキスト入力画面が来る.そこに入力して「OK」ボタンを押すと、次の画面は「Google/Yahooの検索結果」なのだ!これに私は感激した.これなんだよ、これ.他のブラウザの使える商品で、ほとんどこの人間の要求にダイレクトな画面切り替わりを見たことがない.Windows mobileに乗ってるIE使っても、Opera使っても、mylo使っても、PSPブラウザ使っても、チマチマと携帯からGoogle使っても、ぜーーんぶダメ.当たり前のように過ごしているけれど、入力画面のあとは一旦、それが入力されただけの状態の画面に戻るわけ.PCからのブラウザ利用に慣れてたら、当たり前なんだけどね.当たり前なんだけど、Wiiのこの配慮にピーンと来たわけですよ.忠実なの、検索するというミッションに.だってさ、入力し終わって Googleのトップページ見に行っても何も情報得てないわけ.何、入力の確認? そんなの入力時にすりゃいいし.
 このちょっとした素直な配慮に(・∀・)キュンキュン来るわけですよ.
 もうBRAVIAのブラウザなんて話になんないわけ.いきなり使いもしないacTVilaに飛ばされるわ、CNNのページ見ようと思ったら*1「ページサイズが超えました」とか言って表示終了するわ、文字入力画面出てきたところでカーソル無いから次の枠にどうやって飛ばせばいいのかわからんわ、そもそも「検索」なんてオプションすらないわ、もう 使う側の人間考えてんのかと小一時間(ry なわけですよ.とりあえず、大きなディスプレーに成り下がってるわけです.


 どうにかならんかね、ということで 結構ネット系から発展してきた機能って、利用者のITリテラシに頼って怠けてない?
 少し前にMITの石井裕教授が、NHKのテレビ番組か何かで「香水瓶型の天気予報お知らせ」ってのを作っていたが、これは 石井氏の実母に対し「PCなんて 電源入れて、OS立ち上げて、ブラウザ開いて、アドレス入力して、ようやく天気予報のページに行き着く・・・なんて無駄な作業をしてほしくなかったから、瓶の蓋を開けるだけで ほしい情報(天気予報)が聞けるものを作った」と言っていた.
 確かに無駄な作業、慣れちゃったら誰も疑問に思っていないけど、それっておかしくない?技術ってもっと人の要求に応えてくれるもんだよね.結局、それに気付かなくなった作り手の「注意不足」ってことよね.



#どうも、ども.ご無沙汰しております.
#ますます最近、仕事と(blog)ネタとの境界線が引きにくくなってきて、
#思考よりも仕事遂行ノウハウを書いたほうが問題ないんじゃないか
#と思えてきた今日この頃の河野です.深夜です.

*1:実際はWiiもFlash8に対応してないから CNNの動画は見られないんだけどね