小学生の読書感想文

 別に どこかの小学生の読書感想文を持って来て、あーだこーだ言いたいわけじゃないんだけど、だんだんとネット上の発信がコンビニエンスになるにつれて、内容が小学生の感想文みたいなのばっかりになってるよなあって思うことがある.

 小学生の感想文ってのは、「○○ありました」「○○でした」「面白かったです」「楽しかったです」ってやつ.

 まず、「○○ありました」「○○でした」ってのは事実を書いてるだけ.誰が見ても同じなわけだが、てか最近の場合はほとんど、他のところに書かれてることの引用.(「引用くん」って呼んであげるよ!)
 で、「面白かったです」「楽しかったです」って、どこにそう思ったんや? 別に社内抗争してるわけでもないし、政治で顔色伺ってるわけでもないんだから、コトを荒立てないように「何に反応したか」を微妙に隠すため、気持ちを表現してるだけに抑えているわけじゃなかろう?

きっかけ

 私が、こういう感想を避けるようになったのは、13歳くらいのときのこと.大勢の人の前で話をする事が極端に増えたのだが、代表して「感謝の意を伝える」というものが多かった.
 そこでさ、「今日はありがとうございました、楽しかったです.」って、すごく浅いんだよね.チープすぎて言うのも気持ち悪くて、その時よく考えた.お礼される側って、何が聞きたいだろう?って.
 それから、「どこ・いつの何にどう思って面白いと思った、感謝している」と伝える事にした.
 そしたらさ、お礼した相手からもコメントが返って来たりするんだよね.一緒に聞いてる周りの人からも、こうだったこうだった、ああだったよね、ってコメントが出てくるんだよね.



 やっぱり、思考停止はダメだ.周りを思考停止にするのも、できればやめた方がいいと思う.
 追記)っていうか、注記)「だから発信するのやめれ」じゃなくて、自分がどこに心動いたのか、もっと慎重に観察してみなよ、って言いたいわけよ.


プレゼン

 そうそう、これって、お礼のスピーチだけじゃなくて、プレゼンもそう.
 まあ、仕事上のプレゼンってどっちかっていうと、「型をこなす」ために ストレートに述べずに「楽しかったです」的な、心地良さで通り過ぎる事が処世術であったりもするけれど.
 私の人生初めての大きなプレゼンは、16歳の時に呼んでもらった某○○ー○心理学会でのシンポジウムでの発表だった.呼んでくれた大学の先生とそのゼミ・関係ゼミの大学院生たちがいろいろと、どういうことに注目しているか ということを教えてくれた.だから一生懸命その「みんなが気になっていること」にハマるようにプレゼンを作った.呼ばれた最初の時のイメージからだいぶ変えた、という感覚だけ覚えている.

事前準備

 大学に入ってから、もっと人前でプレゼンする事が多くなった.その前に、私は変な(?)入試で大学に入っているので、小論文も面接も 全て「自分の思い」を伝える作業だったわけだが、そこでも結局「相手が何を求めているか・知りたいと思っているか」と「自分が思っている事」をうまく融合させることに工夫した.事前準備は、想像付かないほど時間を使ったと思う.
 その後の仕事でもそうだった.実は、できるだけ事前準備に力を入れている.(でも、性格がギリギリにならないとやらないタチなので、しれてるけど)
 事前準備は、相手を知る作業でもあるが、自分を研ぎ澄ます作業でもあると思う.実は本当は(って気付かれているだろうが)、私はリアルタイムで切り返すのは得意ではない.回転が遅いんだろうか?一応言語能力が低いからってことにしてるんだが、とにかく素早い反応は不得意な方だ.運動神経も鈍いからか?まあいいや.
 だけど、事前準備をしておくと 自分の気持ち・意思の核が見えてくるので、返答に迷わない.飛んでくる会話が、事前準備の中のどの辺の話かってことがだいたい把握できるから.

 とにかく、中学生の時のあの「感想スピーチ」以来、私はずっとそうあるようにしているように思う.


 ただ、これってだいたい外れる.ああー、今日は数センチ・角度少し、ズレてたなあなんて感覚がしょっちゅうだ.だいたいしゃべり終わった後にものすごい落ち込む.あー、忘れないようにメモしてたのに!とか、事前の予想と違った!って.できるだけ事前に、どんな人が対象なのかを聞いたり、関係者にヒアリングをしたりしているつもりだが、なかなか探り切れない.聞くにも限度があったりもするし.
 外す時は、事前把握が足りないか、自分の意志が定まってないかのどちらかだ.と、9年ぶりくらいにそんな機会を貰っての、自省も込めて.



 ってこんな事を書いている自分に、後でまた落ち込むわけだ.こうやって書くってことは、何かに対して思ったってことだから、私がそう思ってしまうような事象があったわけで、そんなことに意見を持ってしまう自分に落ち込む.気にしないでスルーすりゃいいのに、私って心が狭いのう、って.